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チリ戦後

5月27日

メンバー表・試合結果・環境・観戦記

ポジション 名前 交代 交替選手
GK 楢崎正剛
DF 駒野友一
DF 中澤佑二
DF 今野泰幸
DF 阿部勇樹
MF 長谷部誠 後半33分 山口智
MF 遠藤保仁 後半16分 橋本英郎
MF 中村憲剛 後半38分 香川真司
MF 本田圭佑 後半31分 橋本英郎
FW 岡崎慎司 後半26分 矢野貴章
FW 玉田圭司 前半39分 山田直輝
サブ 都築龍太
サブ 川島永嗣
サブ 槙野智章
サブ 内田篤人
サブ 大久保嘉人
サブ 興梠慎三
試合結果 4−0 ○
場所 大阪・長居スタジアム
時間 19:35
天気 晴れ
ややあり
気温 20度前後
選手コンディション Jリーグが中断したが、直後の為疲労や怪我人が続出、海外組もうまく合わず
観客 約35000人
注目度 親善試合の為とくに注目度が高いわけではないが、強豪の為マニアには興味をもたれた
相手のレベル 昨年も対戦したが、結果こそ対等だったが圧倒的な実力差があった
相手の状況 一週間前から日本入りしきちんと調整した模様

感想

さくらの季節に行われた前回の試合から梅雨に入ろうかという今までずいぶん間隔があいた。 経済の不況に加えて新型インフルエンザに襲われた関西地方で試合は行われた。 海外のリーグはおおよそシーズンが終了しブンデスリーグでは長谷部、大久保が優勝、スコットランドでは中村俊輔が準優勝、本田がエールディビジ2部ながらチームの優勝とMVPを受賞。 召集こそされていないもののセリエAでは森本が得点を重ねている。 一方Jリーグも中断時期を迎えたが、先日終了したばかりで週二回のペースで試合をこなした選手達が怪我や過度の疲労をかかえ、日本代表としては満身創痍の状態。

キックオフ直後からチリが圧倒的な技術、フィジカルを活かし攻め込んできた。 アジアの国々とは違い日本のプレスをものともしない。 ディフェンスの選手でも日本のMF以上に相手をかわすという技術をもっているように見える。 さすが現在南米予選3位、そして監督はアルゼンチンの雄ビエルサ。 久しぶりにスタメンで右サイドバックに入った駒野があっさりと倒されスイスイと抜かれていく様を見て暗い気持ちになった。

日本の中で一対一でボールをキープ出来るのが長谷部と本田だけ。 本田は前回の召集で完全に空回りした結果だったが、今回は非常に力強くチームの主軸として頑張っていた。 しかし日本としては圧倒的に押し込まれ、いつやられてもおかしくない状況で前半半ば、チリが押し込むだけの簡単なシュートを外した。 思い返すとここがポイントだった気がするが、その直後本田が右サイドから中央へドリブルで進み無回転の強烈なミドルシュート。 キーパーが弾いたボールを走りこんでいた岡崎が押し込んで先制。

さらに前がかりにきたチリDFの裏へ中澤が走り込み、後方からのパスを二回は出来ないだろうというスーパートラップを見せ、おまけに岡崎への完璧なスルーパスまで決め追加点。 今までの得点力不足はなんだったのかという5分間。 同時にこんなところで運を使わなくてもという気持にもなった。 その後玉田の負傷があり様子見でプレーしていたところ致命的なミスから決定的場面を迎えるがまたしてもチリが外してしまう。

その玉田に替わり話題の18歳、山田が入ってきた。 レッズの試合はたまに見るが、最近の若い選手特有の高い技術だけでなく、引退した森島、それから羽生、こういった選手の後継者ともいうべき選手に見える。 しかし前半を見る限り過緊張なのかパスをダフったりして衝撃のデビューというわけではなかった。 前半は相手のミスも含めて4点分の運を使ったように感じた。 当たり前の話ではあるがビエルサ監督がのちのインタビューで答えたように最初の点がどちらに入るかによって全く違う展開になったと思う。

後半は前半の勢いのままリードした日本がのびのびとプレーをし内容もイーブンになりはじめた。 やや混乱気味のチリに対してセットプレーから阿部が追加点。 これで試合は決まった。 その後お互いに決定的チャンスにミスをし、それだけで考えれば内容はやや日本の勝ちなのかなと思う。 最後に本田が追加点を奪ったが、メンバーが替わりすぎたせいでそのあたりはよくわからない。

中澤、今野のディフェンスは素晴らしく、中盤では長谷部がレベルの違うプレーを見せていた。 山田はパスがショートしてしまう場面が目についたが、年齢と経験を考えれば上出来。 山田の良いところはチームの一員として今何をすべきかという判断を間違わないところだと思う。 こういったタイプが今後世界から必要とされるか分からないが、一生懸命練習すればパク・チソンになる可能性がある。 足は速くないし、背が低く体が強いわけでもない、圧倒的な技術があるわけでもないと、通信簿でみると何が魅力的な選手か分からないが、気遣いが出来るという最もアジア的な選手。 一番の驚きは、18歳にして本人がそれを自覚してプロという世界に入ってきた事だ。

さて、この試合を見てそれなりの驚きがあったのだが、その6時間後のチャンピオンズリーグ決勝でさらなる驚きがあった。

熱狂的なバルサファンの友達でさえ「マンUがチェルシーのように戦ってきたら勝ち目がない」とこぼしていたが、ファーガソン監督は打ち合いに出た。 序盤こそマンUが試合を支配したがエトーの一発でまるでやる気がなくなってしまったかのようにマンUが機能しなくなった。 それはバルサが優れていたのもあるだろうし、マンUがどうしたらよいのか分からなくなってしまったのもあるかもしれない。

衝撃だったのは、これだけ巧いチームが日本の目指すパス&ムーブをやっている事。 彼らは世界代表みたいなものだろうが、もしこのサッカーがトレンドとなり、常識となり、サッカーの基本になってしまったら、今後日本はどのようにして彼らに追い付けばよいのだろうか? さらに彼らは強さもスピードも技術もある為にサイドなんて使わずに真中を突き破ってくる。 一方日本では手間暇と人数をかけサイドを崩し、そのせいで枚数が足りなくなったペナルティーエリアに向け不正確なセンタリングを蹴り大柄な相手DFにクリアされるという事を繰り返している。

アルゼンチンやスペイン相手に想像出来る得点シーンは、本田のミドルシュートからこぼれ球に岡崎がつめる、サイドを崩しマイナスの折り返しをMFがコースに蹴り込む、こういったところではないか? 日本代表がワールドカップベスト4を目指すのであればこういった事はもっと突き詰めてやる時期にきているのでは思う。 ただどうやって守るのか?それについては全員で一生懸命走る以外に想像できない。 それだけで無失点に抑えきれるとは思えないが。