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岡田新監督就任会見

12月7日

■ 自分の気持ちの中でやると決めたのは、理屈ではないです

小野技術委員長との交渉で、受諾に至った理由はありますか?
正式に返事をするまでに、自分の気持ちの中でやると決めたのは、理屈ではないです。今まで周りを見たら登ったことのある山ばかりだったが、ふと横を見たら断崖絶壁で、これにチャンジしないといけないという気持ち。日本サッカーのためというのもありましたが、一番はそういう気持ちが沸いてきたからです。正直言って、オシムさんが倒れる1週間前にJリーグ(チーム)からのオファーをお断りしていました。(そのときは)何か違うなと、そういう気持ちが沸いてこなかった。でも今回は、そういうものが沸いてきたので。協会からどう言われたとかではなく、条件も何も聞いていない時点で自分の中では決めていました。
1997年に続くスクランブル登板ですが、どんなチームを作りたいですか?
今までの代表監督、コンサドーレ札幌、横浜F・マリノスではいつも、うまくいってないので代わってくれということでした。今回は決してうまくいっていないわけではないチームで、今までとは違うんだろうなという感覚を持っています。そういう意味では、最初から自分の色を出してグッと引っ張っていくのは得策ではないだろうと思います。来年の年明けに15日からキャンプを10日間くらいします。これはシーズンオフ明けのキャンプなので、その10日間のキャンプだけで新しいチームを作り上げられると言うほど、僕は自信家ではないです。
今言ったような条件の中でやることを考えると、できる限り今あるものを生かして、予選の中で少しずつ作り上げるのがベターかなと。
オシムさんのサッカーは私にはできないと思います。オシムさん以外にオシムさんのサッカーはできないと思います。ただコンセプトに関しては、日本人が戦っていくことを考えると、誰がやっても変わらないと思います。
10年前に比べて、違うことは?
10年前から10年経ったということです(笑)。だいぶ違うんじゃないでしょうか。まずサッカーを取り巻く環境。10年前は日本中がW杯自体を知らなかったし、ちょっとクレイジーな状態だったと思います。今は、全体の雰囲気、環境もだいぶ落ち着きがあると思います。
それから、10年前は(代表監督を)引き受けた時点で(チーム状態が)どん底で、絶対にダメだという、選手も本当に追い込まれた状態での就任でした。今は、追い込まれていると思っている人もいるかもしれないですけど、まだこれからなので、そういう違いがあります。
あのときは、僕も若かったですし、追い込まれたということもあるんですが、自分の中でともかく必死なことだけでした。今は歳を取って人間が丸くなったので、昔ほど(メディアの)皆さんにつらく当たることはないんじゃないかと思っています(笑)。
来年の予選スタートまでの具体的に決まっているスケジュールは?
12月中に一回、選手を集めようと思っています。今、それをお願いしているところです。それは選手を見極めるというよりも、オフに入った選手とかいろいろあるんですが、そこで練習試合を考えていますので、そこまでコンディションを保ってもらって、その後これからどういう心構えでいくかを話します。今までと違って今度は公式の予選です。シーズンオフにどういうふうに過ごしてほしいというのを少し話して解散します。1日だけです。そして1月15日からキャンプに入って、キリンチャレンジカップを2試合(チリ戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦)やって予選に入ります。
チーム作りの具体的なコンセプトは?
コンセプトは変わりません。人もボールも動くサッカー。日本人がこれから世界と戦う上である意味、ラグビーでもよく言いましたが、接近、展開、継続というようなコンセプトは変わらないと思っています。ボールと人が動いてできるだけコンタクトを避けた状態で、しかしボールに向かっていく。ディフェンスも待っているんじゃなくて、こちらからプレッシャーをかけていく。これは変わりません。 ただ、僕がオシムさんのサッカーはできないと言ったのは、サッカーの内容がオシムさん以外、どんな人がやっても、変えようと思わなくても、変わらざるを得ないということです。
新たに構想にある選手は?
大枠の中ではあります。コーチと打ち合わせをしているんですが、たくさんはいませんが、1人か2人はいます。
海外組に関しては?
海外組に関しては、スケジュールを調べてもらってどこでどう呼べるかを検討しています。それと海外組のコンディション、試合に出ているか出ていないか。私にとっては海外であろうが、国内組であろうが、チームの戦力になれるかどうかなので。例えば試合の前日に帰ってきて翌日試合をすると。そういう選手が3人出ていて、試合が始まってコンディションが悪いが、交代させられない。そういうリスクは冒せない。トータルで考えて、海外組であろうが、国内組であろうが、チームとして戦力になるかどうか。そこを考えたいと思います。
契約はいつまでですか? W杯予選と北京五輪が重なるわけですが、U−22代表との兼ね合いはどうしていきますか?
契約期間はまだ聞いてないです(笑)。ソリ(反町コーチ)は五輪に専念するということでベンチとかには入らないんですが、時間があったらキャンプにも来てほしいし、スタッフミーティングにも出てほしいとお願いしています。五輪チームに関しては、反町も代表で使ってもらえるんだったら使ってもらいたいと。ただ、こことここだけはできたら返してもらいたいとか、どうしてもということであれば問題ないと言ってくれています。僕と反町の間だけの話なんですが、そう話しています。 彼は昔からよく知っていますし、しょっちゅう話していますので、これからもコミュニケーションを取ってやっていきたいと思います。

■ ここから逃げちゃいけない、チャレンジしないといけないという気持ちが沸いてきた

フランス大会後に、もう一度チャンスがあれば代表監督をやりたいという意思はあったのでしょうか? 10年前もスクランブル登板で今回もスクランブルで、何か運命的なものを感じますが
10年前のことはあまり覚えてないんですが、10年前に代表監督を辞めたときに、もう一度代表監督になるというのはその後もずっと考えていなかったです。 前回と今回については、人生って分からないもんだなあと。Jリーグ(チーム)のいくつかのオファーを受けていたら、代表監督はおそらく受けられなかったと思います。(Jリーグチームのオファーに対して)何か違うと感じていて、そしてこちらのお話をいただいたときに、まさかそんなことがあると思わなかった。自分なりに、来年1年間にこういうことをやりたいという目標があって、それに対するいろいろなことをやっていて、ところがそれをすべてを超えるような、やってやろう、やらなきゃいけないというか、ここから逃げちゃいけない、チャレンジしないといけないという気持ちが沸いてきた。これは、運命的というよりは感覚的にそう思いました。周りからはそういうことを言われることもありますが、自分自身はそう思っていないです。
これまでのオシムジャパンへの評価、感想は?
僕は評価はできないですが、少なくともやろうとしていることは非常に感じとれた。ボールを早く動かして攻めていきたい、だからといって前に急ぎ過ぎて、ゴール前に人数が足りないというのではなくて、ある程度、全員が押し上げた状態でやりたいんだなと。 ただ、まだおそらくオシムさんの頭の中では過渡期だったと思います。ここからこういうのを付けたいんだろうなというのは感じていました。いろいろとほかのチームで人のサッカーを見ますが、こうしたいんだろうなと感じられることは、それほど多くないんです。そうした意味では、しっかりとしたコンセプトを持っておられるんだろうなと思います。内情は全然知らないですし、オシムさんとはよく話はしましたが深く話したことはないので分かりませんが、そういう感想を持っています。
10年前は協会のサポート体制が十分でなかったとおっしゃっていましたが、今回、そういう話をしましたか?
10年前は若かったですからね(笑)。今回は何も言っていません。逆にもっとやってもいいんですよと言われますが、僕はコーチに対しても信頼していますし、現時点でどうこうとはまったく考えていません。私からは要求していません。それはなぜかというと、結局は私が受け入れればいいことであって、それを受け入れられる年齢になったということだと思います。
しばらく現場から離れていましたが、それについて不安は?
ずっとやっている人の方が少ないと思うんですが、そんなことは考えていませんし、そんなさ細なことが不安なようではこんな大きな仕事を引き受けられないです。1年半ほど離れたことが自分にとってはいろいろな意味で勉強というか、人間としての経験になったかなと思っています。
12月に一度招集するということですが、選手選考のコンセプトは?
来年の1月15日からオフ明けの10日間で、コンディショニングをやらないといけない。10日間で全面的に新しいチームを作れる自信はありません。そういう意味で、今までの土台の上に立ちながらいきたいと思っていますので、今まで選ばれたメンバーが中心になります。その中で、各チームでの調子、けがを考慮して選ぶことになります。
今までのコーチをそのまま引き継ぐということでいいですか? また、ご本人の健康状態は?
コーチに関しては、まず今までの土台を引き継いでいくわけですから、それを知っているコーチたち、彼らの力がないと僕はやっていけないと思っています。そういう意味で、彼らを最大限に尊重してやっていきたいと思います。 自分の健康に関しては、至って元気だと言うとそういうのが危ないとよく言われます(笑)。1回、4年前に人間ドックに行ったら、高いお金を払ったのにどこも悪くないということで、損した気分になってから一回も行ってないんですが、今年の年末か、来年の頭にでも行こうかと思っています。
オシムさんのサッカーが過渡期だと感じられたとおっしゃいましたが、岡田さんなら何を新たに付けていきたいですか?
今、あんまり言わない方がいいと思います。オシムさんが元気になってから、どこかの雑誌で対談でも企画してください。そのときに僕も聞いてみたいと思っています。
世界のサッカーと日本サッカーの距離感は?
10年前に比べて確実に進歩していると思います。日本というチームはいろいろな意味で、サッカー協会を含めた多くの指導者、そしてオーガナイズがきちっとできて今の構図があると思います。好き勝手にみんながやるような構図だったら、日本はまだ上にいけていない。アジアで浦和レッズがチャンピオンになれたのは、現場だけでなくそういういろいろな努力があったおかげだと思いますし、それが日本の強みだと思います。ただ、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)に来年は3チーム(浦和、鹿島、G大阪)が出るわけで、代表の予選の日数がたくさん入っているので、ACLに出る選手はものすごい日程になります。そうすると……、これは質問と関係がないですね(笑)。まあ、そういう感じです。
ワールドカップ予選をどう戦いますか?
まずは2月6日のタイ戦を戦って、1試合1試合前の試合を振り返りながらステップアップしていこうと。全部をこういうコンセプトで戦うという時間はありませんので、最初のオフ明け10日間以外は、全部試合前の集合になります。そういう意味では、1試合1試合積み重ねながらやります。 ただ、6月の4試合(W杯3次予選)に関しては1カ月ほど選手を拘束できるので、ここではある程度統一したものが作れるんじゃないかと。まず、タイ戦とバーレーン戦で現状の中で勝つことを目指していきたいと思っています。
代表監督へのプレッシャーはすごいものがありますが、就任にあたってご家族の反応は?
代表チームのプレッシャーはあなたよりも私の方が知っていますが(笑)、家族はまさか引き受けると思わなかったようで、一様に驚いていました。ただ、あきらめたみたいで、「もう知らない」というようなことを言っていました(笑)。