イエメン戦前日
1月19日
■ 誰にもできない幸せなことではあるけれど、それなりの責任がある
- はじめに
- 1月10日から、(オフシーズンに)十分休みが取れた選手を集めて、これまで約10日間キャンプをしてきました。軽いけが人が出て、離脱した者はいますが、大きなけがもなく、チームとしても経験の少ない選手も多かったんですが、ひとつのまとまりみたいなものがようやく出てきたという手応えは持っています。明日の相手は、ガルフカップを戦ってきたということで、コンディション的には仕上がっているし、1人1人の力も、ある程度は持っていると思います。簡単にはいかないかもしれませんが、ぜひこのメンバーで結果を出したいと思っています。
- 初めて熊本で代表戦が行われるわけだが
- 選手にも集合した日に話したし、もう一度今日、話そうと思っているんですが、日の丸を背負って戦うとはどういうことか。これは単なる親善試合でも代表選考合宿でもない、日本代表としてインターナショナルAマッチを戦うわけです。ある意味、誰にもできない幸せなことではあるけれど、それなりの責任があるということを、グラウンドで選手に表現してもらいたいと思っています。それはどういうことかというと、見ている人が、本当にプライドを懸けて戦っている姿、チームが勝つために全身全霊となって戦っている姿、チームが一丸となって戦っている姿、そういうものをお見せしたいと思います。
- 非公開練習の中身はどんなものか?
- 試合前日はずっと同じパターンでやっていて、ハーフコートでのタッチ数を制限した11人対11人のゲーム。その中でセットプレーも入れながらやっていました。9対9でも良かったんですが、ポジション的に後ろが足りなかったので、大津高校の生徒を2人借りました。
- 巻誠一郎が熊本出身だが、そのことについて意識していることはあるか?
- いろいろな出身地の選手がいるので、試合ごとに選手の出身を意識していたらチームにならないので。明日のインターナショナルAマッチを勝つためにベストのメンバーで、ベストの戦いをする。当然、巻は重要な選手なので、そのうちの1人に入るとは思いますが、熊本だから彼を出すということではない。必要なら使いますし、必要なければ使わないです。
- イエメンはオシム前監督時代に対戦して苦戦しているが、どういう戦いになると思うか?
- イエメンは個人的には、技術的に抜群というわけではないですが、きっちりした技術は持っています。激しいコンタクトをしてくるし、3バックでしっかり守りを固めて速攻というパターンが得意だと理解しています。もともとこの時期に、この相手とやらないといけないとなったとき、総合的に考えて簡単にいかないと覚悟はしていました。しかし、その中で、われわれは結果を出していかないといけない。オシムさんの時も確かに苦戦しましたが、あの時はオシムさん(が監督)になって(親善試合を除くと)最初の公式戦だったと思います。それほどチーム作りができる状態ではなかったということもあったと思います。われわれはこの1年でチームを作ってきましたし、ここ10日間、新しい選手かもしれませんが、チームとして合宿してきましたので、簡単ではないけれど結果を十分残せるチームになったと思っています。
- 今年はワールドカップ最終予選の重要な年だが、その中でのアジアカップ予選の位置づけをどう考えているか? また明日勝つためと、長期的なチーム作りとのバランスはどう考えているのか?
- 当初はこの試合は、AFC(アジアサッカー連盟)からの通達では20日ではなく、14日だったと思います。でも、とてもじゃないけど、われわれはチームが組めないので、20日に延期してもらったと。当初の予定を聞いたときには、とんでもないスケジュールで、こんなときに公式戦をやっても日本はチームを組めないと思っていたんですが、よく考えてみればオーストラリアが2月11日。これが最初の公式戦だったら、おそらく選手を集めるのは10日前の2月頭くらい。各チームが始動し始めて4、5日のところです。そこから集めて、いきなり本番オーストラリアとの試合(ということを考えると)、ここで2試合あることはものすごくありがたいことだなと。ひょっとしたら、これはものすごくツイているなと。最初はちょっと頭にきていたんですが、今は、このスケジュールに関しては、そう思っています。ただ、これがAFCの公式戦なのに、インターナショナルマッチデーに指定されないというのは、ちょっとおかしいんじゃないかなと思っています。
ここで勝つことについてですが、もちろんわれわれにとって最重要なのはオーストラリア戦です。それに向けて(アジアカップ予選)2試合をこなしていくわけです。やっぱり、いつも言うんですが、一番重要な試合のためのテストだとか、たとえそれが親善試合であっても、勝つためにベストを尽くさなければ、それはテストにはならないといつも思っています。ですからイエメンに勝つためにベストを尽くすことが大切だと。ただ、イエメンに勝つためだけの戦い方――ある意味(相手は)高さがないので、放り込みをすればチャンスはできるかもしれないですが、そういうことをするつもりはありません。われわれのコンセプトに沿った戦い方で、明日の試合に勝つためにベストを尽くす。そういうスタンスで考えています。
それとともに今回、いろいろな選手にチャンスを与える。チャンスをもらった選手、こういうインターナショナルAマッチを戦えるチャンスというのは、そうないと思います。そういうチャンスを生かせる選手が1人でも2人でも出てくれば、チームにとって大きな活性化になる。1月にもし常連の選手ばかりを集めていたら、ここまで充実したキャンプはできただろうか。やはり、そのチャンスに対して、モチベーションを持った選手がいてくれたおかげで、すごく充実したキャンプになったと感じていますので、そういう意味も、この試合にはあると思っています。
|