キリンチャレンジカップ、W杯・アジア最終予選 メンバー発表
1月30日
■ それに対して自分はすごいショックがあった
- はじめに
- 今回はオーストラリア戦を第一に想定してメンバーを組みました。海外組はキリンチャレンジカップには間に合わないので、少なめの人数になりますが、このメンバーで最後までいきたいと思います。途中で再選考はしません。
ホームでやるにしては25名と、1、2名くらい多いかもしれません。これは海外組が5人いて、直前の試合でけがをするなどのアクシデントが起こるかもしれないということで、この人数になりました。もっとも国内組もまだ始動したばかりの時期で、最初から集めておかないと途中で呼んでもすぐ戦力になるとは限らない、このことも考慮しました。
全体のバランスとして海外組がどうしても中盤に固まっているので、フィンランド戦では中盤が少し薄くなるかもしれませんが、何とか乗り切れるだろうと考えています。
ともかくこの時期の試合は、ゲーム感覚を取り戻すためにある程度激しい試合をしたいと思っています。フィンランドは国内組中心で来て、今日から(日本に)入ってキャンプをして、そして練習試合もあると。若手中心なのでモチベーションも高く来てくれるので非常にありがたい。直前にベテラン組が来ていい加減にやられるよりは、ずっとありがたいです。われわれはゲーム感覚をつかんで、オーストラリア戦にいい形で臨みたいと思っています。
- 川口がリタイアしたが、GKの追加招集は考えなかったのか?
- 本来であればバーレーン戦も3名で行くはずだったんですが、菅野が元日まで試合をやっていたので、呼べませんでした。3名という人数自体は妥当だと思います。この後も追加招集は考えていません。いろんな選手がけがをすることが今後もあると思いますが、われわれは十分やっていけるということで選んでいるので、心配はしていません。
- 海外組の合流のタイミングと、闘莉王のコンディションはどうか?
- まだ最終決定ではありませんが、俊輔だけが早めに招集できる可能性があります。カップ戦があるのですが、対戦相手が3部リーグのチームなので、クラブも同意してくれるだろうという情報を得ています。それ以外の選手たちは前々日の9日に合流という形になります。闘莉王に関しては、バーレーンに行く前にフィンケ監督と話した時点で、筋力もある程度まで戻ってきていると。「もしオーストラリア戦を考えているなら、それに合わせた調整をすれば、十分に間に合うと思う」というコメントもいただいています。今回メンバーを発表する前にスタッフが確認したところ、確かに万全ではないかもしれないが、できるのではないかと。そういう意味で、まずは合流してもらって、こちらの目で確認したいと思っています。
- バーレーン戦の敗戦が今回のメンバー選考に影響したか?
- 敗戦が影響したことはありません。ある意味、テストも兼ねていたので、その試合のプレーが選考に影響したことはもちろんあります。
- バーレーンに敗れて出た課題はあるか?
- わたしが監督になってから、バーレーンに2回、アウエーで負けています。少し異常な数字だと思います。彼らに2回負けるのは自分の中でも許しがたいことなんですが、どうも彼らとはタイミングが合わない面もあります。ともかく、われわれはそのバーレーンに負けたから戦い方を変えることは全くしません。選手にも言いましたが、確かに負けたことは悔しいし、反省もしないといけない。だが、反省ばかりしていても仕方がないですが、われわれができることは、あとの日数でオーストラリア戦に向けて今まで通りベストを尽くすこと。それはわたし自身、何も変わっていません。
当然、この時期に本気の相手とやるとプレッシャーがきつく感じると思います。どうしてもボールを引き出すのが怖くなります。そういう意味で、まずボールをシンプルに動かしていくところを、元に戻さないといけない。コンセプトから見ていくと、ここ2試合は少し落ちています。それを戻さないといけません。そのためにもプレッシャーの中でのゲーム感覚が一番大事かなと思います。
- ゲーム感覚が空き、チームとしてのパフォーマンスが戻らないということを繰り返しているように思えるが?
- 今回、試合内容を見られた方、見られなかった方いると思いますが、チームがやろうとしていること、例えば意識がバラバラだったとか、そういうことはなかったと思っています。ゲーム感覚やコンディションの問題がある中で意識がバラバラだった試合とはまた違います。オーストラリア戦に向けて、久しぶりに合流するメンバーもいますが、彼らはある程度分かっているメンバーなので、心配はしていません。
- オーストラリア戦では、今までやってきたサッカーがどのように反映されるか?
- 正直、オーストラリアはアジアトップレベルのチームです。あれだけ個人技術がしっかりしているチームはアジアではあまり見られません。ウェストハムで主将を務めるセンターバックのニールという選手がいますが、DFでありながら、あれだけパスを出せる選手はアジアではいません。でも、われわれはこのような相手に勝つために最低限やってきたつもりです。そういう意味で非常に楽しみにしています。マンツーマンで付かれて下がって守られるよりも、こういう相手に勝つためにやってきたつもりなので、この試合ではやってきたことの成果が見られると思っています。
- オーストラリアはここまで最終予選で1点も取られていない。彼らのディフェンスやGKの強さについては?
- GKは素晴らしいです。何試合も見ましたが、そう簡単にゴールは入らない。ただ、世界中には素晴らしいGKが多くいますが、みんな点は入れられています。絶対にゴールが入らないわけではないので。ただ、それなりに工夫をしないといけないと思っています。それとオーストラリアの個々のディフェンス能力、1対1の競り合いは抜群に強いので、それを破るにはわれわれは人数をかけて攻めないといけません。それが具体的に何かは勘弁してもらいたんですけど(笑)。
- ここ2試合とも、セットプレーからヘディングで失点しているが、闘莉王が戻ればカバーできると考えているか?
- 今日のミーティングでもそれがテーマに挙がっていて、特にオーストラリア相手にはセットプレーでの失点は極力避けたい。先にセットプレーから入れられることは絶対に避けたいです。これに関しては、年が明けてからのキャンプでセットプレーの練習というのは実はほとんどしていません。こうやろうとか、相手に対してこうしようという対策は一切やっていないので、これからやらないといけない。相手のヘディングが強い、またはキックがうまい選手がいることは、ある程度明確になっているので、それに対してどういう競り方をするのかといったトレーニングをしていかないといけないと思っています。
- 昨年の3月にバーレーンに負けた時は「一生忘れられない」と言っていた。ただ、今回の敗戦はその時と微妙にニュアンスが違う印象を受けるが
- バーレーンの記者もそれを聞きたいらしく、ショックなのか“shame”(恥ずべきこと)なのかを盛んに聞いていましたが、われわれは全く違って“微妙に”という考えはない。前回は選手たちの力を全く出させてやれなかった。それぞれが言われた役割を分担して、自分の役割だけをこなしているという試合をさせてしまった。それに対して自分はすごいショックがあった。これは「バーレーンだから屈辱だ」と言ったのではなく、「自分自身に対する屈辱だ」ということを言いました。バーレーンの記者が勘違いしてそういう質問をしていたのだと思います。
今回に関しては、この時期にこのメンバーを集めてこういう展開になるだろうということを、ある程度予想ができたところもありました。前半は非常に動き出しが遅かったが、少し想定していました。選手に一番強調したのは、恐らく日本のサポーターはほとんどいない、相手のサポーターもあまりいない、メディアも4分の1くらいだと。なんとなくぬるい感覚がスタジアムにあったと思います。でも、「この試合をぬるい感覚でしてしまうと、オーストラリア戦までに取り戻すのにエネルギーがいるよ」という話をしたんですが。完全ではなかったですが、半分くらいはそういう感覚がありました。今回、確かに負けたことは悔しいですし、最低引き分けなければいけなかった試合だと思います。ただ、アジアカップの予選突破という目標に対しては、そんなに問題はないと思っていますし、逆にこれがいきなりオーストラリア戦だったら、ものすごく怖かったなと。例えば、イエメン戦の後、香港と続いていたら怖かった。バーレーンがあれだけ攻撃的に来てくれたので、そういう意味ではオーストラリア戦に向けて非常にありがたい試合ができたなと思っています。
- オーストラリア戦の前は国内組中心で、その後に中村俊や海外組が合流する。フィンランド戦での課題は?
- 海外組がいない中でわれわれはやっていくわけですが、ポイントは変わりません。ただ、俊輔や遠藤というような秀でた選手がいなければ、サッカーは変わってきます。このメンバーだから勝つためにこういうサッカーをしよう、ということは全く考えていません。われわれは、いないことを考えて底上げするのではなく、ベストメンバーがそろった時に、ベストなパフォーマンスを目指すことを一番にやってきました。今回のフィンランド戦に関しても、ベストなメンバーがいたときにやろうとするサッカーをやらせようと思っています。
- 先ほど「バーレーン戦に負けたら、オーストラリア戦に向けて取り戻すにはエネルギーがいる」と話した。では、それを取り戻すためには、どういうことをやっていくのか?
- 負けたら、とは言っていません。勝敗は別として甘い試合をしてしまうと、ということを言ったんですが、そこまで厳しい試合をしたかというと、そうとは思っていません。ある程度エネルギーがいるのはこれは仕方がないと思っています。ディフェンスにおいてのボール際の速さもあります。それ以上に、まずボールを受ける意識、引き出す意識、そしてボールを動かしていく意識を一番に考えないといけないと思っています。
- 今までの日本であれば、バーレーンに2回負けたとなれば、監督の進退問題にも発展していた。それが今はオーストラリア戦に向けた準備ということもあって、みんなが応援している。バーレーンと試合をしたことはオーストラリア戦に生きるのか?
- 応援していただいているかどうかはちょっと分かりませんが、わたしがやることは1つ。大事なのは、勝つためにベストを尽くしていくこと。そういう中で、イエメンや香港、または親善試合ではボール際の厳しさが違う。バーレーンが強いか弱いかではない。そこそこのチームだと私は思っています。オーストラリアにもホームでは完全に勝ちゲームでやっていましたし、そういう相手がプレッシャーをかけてやってくれたのはプラスになると思っています。
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