玉木正之インタビュー
6月15日
■ 一切、策は打たないしパワープレーもしなかった。それは決めていた
- オーストラリアとの最終戦は、グループでの1位を目指すための試合になるのですか?
- 1、2位にもわたし自身はこだわっていません。とにかくオーストラリアには負けるのは嫌なんでね。勝つと自然に結果として1位になるのかなと。1位になるためではなく、われわれのやっているサッカーで、少なくともオーストラリアレベルには勝てるということを証明していかねばなりません。そうでないと、W杯でベスト4なんて無理なわけですからね。
- オーストラリアにはの「には」の部分にひっかかったんですが
- オーストラリアはアジアの中で抜けていますよ。個人のレベルとしてね。ほとんどの選手がヨーロッパでレギュラーを張っているわけでしょう。今まで日本人でプレミアリーグでレギュラーを張った選手は過去に1人もいませんよ。プレミア、セリエA、リーガ・エスパニョーラの3大リーグでもレギュラーを張ったのは、唯一ヒデ(中田英寿)くらいでしょう。それもペルージャのときだけですよ。ローマ、ボルトンではなっていない。オーストラリアは、2人くらいはレギュラーではない選手がいるけれど、ほぼ全員がレギュラーですよ。個人レベルで比較すれば圧倒的に日本より上の、いいチームですよ。でも、フランスや、イタリア、ブラジルと比べれば格落ちします。少なくとも個人レベルではアジア・ナンバーワンかもしれないけれどね。ならば、そんなオーストラリアくらいは負かしたい。
- オーストラリアを負かせるくらいでないと、ベスト4というものには手が届きません
- だから、負かせなければならないし、敵地であろうが、できると思っていますしね。ただ、今のところ真正面からぶつかっていくつもりです。もし、ここで策を打って、そこそこいい試合をして勝っても何も見えない。真正面からぶつかって『何が足らない』『何ができるか』が見えてこないと意味がないわけですよ。この前のホームでやったオーストラリア戦でも、そうですけれど、僕は一切、策は打たないしパワープレーもしなかった。それは決めていたんです。だから見えてきたものがありましたしね。
- ホームのオーストラリア戦では相手が引き分け狙いで思い切り守備的でした。あれだけ守られると、FWにこじ開ける力はありませんね
- 僕は、そういう見方はしていないんですよ。逆に言うとオーストラリアがアジアであれだけボールを相手にキープされたことは初めてですよ。僕は「こういう相手にもあれだけ回すことができるんだ」と思った。それに、あれだけ守られると、世界中、どのチームも、簡単には点は取れません(笑)。でも引き分けに満足してはいけない。
何が勝つために必要なものだったのか。1つ見えたポイントは、ゴール前に入っていかなきゃいけないということです。「中盤で回すのに人数をかけているのでゴール前に入れません」では、彼らに勝てませんよ。彼らは、中盤で日本みたいにボールを回すならば、きっとゴール前には入れないでしょう。でも、われわれは回したところからまた入っていく、だから勝てるんです。「前線でプレッシャーをかけているからゴール前にいけません」。それじゃあ勝てないんです。前線の選手も守備に参加し、なおかつ、ゴール前でシュートを打てなきゃダメなんです。そういうことが徐々に見えてきているので、僕は、あのオーストラリア戦をネガティブにとらえていないんです。
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