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ガーナ戦後

9月9日

■ 五分の戦いの中で点を取りたいというのは、本音の中ではあります

はじめに
今回の相手のガーナもトップクラスのチーム。われわれはワールドカップ(W杯)から逆算してトップレベルの相手とできるのが、この試合とあともう1試合くらいしかないということで、とにかくオランダ戦でできたことを続けて、できなかったことをチャレンジすると。できなかったことのひとつは、点を取ること。これが大きなポイント。それからディフェンスに関しては、シュートに対して体を寄せていく。組織ではなくて、最後のところを抑えるということ。そして3つ目にメンタルとして、ビハインドになったり、うまくいかないときにチームとしてガタガタと崩れない。チームとして最後まで戦えるように、というテーマを持って臨みました。
前半にPKを取られて、ハーフタイムに「いいシミュレーションになった。この後に、ガタガタと崩れるのか、最後まで戦い切るのか見せてほしい」と。これは素晴らしく、全員が慌てることなく戦ってくれたと思います。ただ前半に決定機が3回あったと思うんですけど、そういうものを決めていかないといけない。それとディフェンスに関してはロングボールに対して、こういう相手では1対1ではやはり厳しい。常に周りが戻って2対1の状況を作るようにしないといけない。いろんなポイントが見えたと思います。ただ、無理を言って欧州遠征を組んでいただいて、最後に勝って、そしていろんなテーマも見つけられて、いい形で(遠征を)終えられたと思います。
2トップで臨んで得点が取れたことについて。それから、稲本と玉田を入れて攻撃のリズムができたように見えたが
オランダ戦の反省として、ビルドアップすることで満足しているというか、ゴールに向かうプレーが少ないと。その意味で、点を取るためにゴールに向かって走っていく選手を増やしていかないといけない。2トップの方がよりやりやすいだろうということで2トップにしたんですが、これは4−2−3−1でもそういうプレーをしていかないといけないと思っています。彼ら(ガーナ)のウイークポイントはサイドの裏だったと思うんですけど、前半は2トップがサイドまで流れ切らずに止まってしまう形でした。でも後半はそこまで流れ切って中が空くと。それで玉田なんかが生きたんじゃないかと思います。それまでも流れは決して悪くはなかったと思っています。ただ、彼らはフレッシュで、ここでアピールしようとする高いモチベーションがあったので、非常に積極的にプレーしてくれたと思っています。
前半、あれだけ前にラインを上げて相手の背後を突こうとしていたが、中盤でかいくぐってビルドアップしていくような攻めが見られなかったことをどう考えるか
僕自身、前半をトータルで見た場合、ビルドアップに関してもそれほど問題があったとは思っていません。ただ立ち上がり、相手の迫力にちょっと腰がひけたところがあったことは事実だと思います。それでボール際の判断が遅くてミスパスになる。また最初の感覚として「これなら通る」というようなパスが、ガーナは追いついたり足が出る。それが前半の途中まであったと思います。それとともに2トップが、2人とも相手のDFに入り込んだところから動き出すために、どうしても縦へのパスの距離が長くなっていたので、ハーフタイムには早めに斜めの関係というか、前後の関係になって1人が裏、1人が下がるということを意識するようにと(指示しました)。そのあたりも良くなったと思っています。
相手のゴールに向かって人数をかけるのはリスクを負うことになり、後半にDFが1対1となるケースが多く失点もあった。この段階では仕方がないと考えるか
仕方がないということではぜんぜんないです。ただ、日本やアジアでは、相手のGKがボンと蹴って中澤が対応していたら、まず大丈夫という周りのムードというかイメージがあります。でも、彼らにはそれが通用しない。全力で周りが戻らないといけない。2点目のときも闘莉王がジョギング気味で戻っていて結局やられた。これは体で感じたことだと思うので、今の段階では仕方がないではなくて、われわれが劣っていたところだと。この感覚は忘れないでもらいたいと思っています。
久々にスタメン出場した前田をどう評価するか?
前田に関してはいろんな選択肢があったんですが、今回呼んだ選手の中ではぜひ試してみたかったということで、何分できるか分からなかったけれどもやらせてみようと思って使いました。非常にこの短期間で、代表チームにフィットしてくれていますし、彼の良さを出すところを、よく頭のいいプレーをしてくれたのではないかと。僕は試合前にいつも「自分の得意な特徴から試合に入るように」と言っているんですが、彼は本当に自分のいいところ、いいところから試合に入っていたように思いますし、彼のプレーには非常に満足しています。
攻守の切り替えについて。特に相手のプレスが強いときには、ボールを取ることが精いっぱいで、味方の位置を確認しないとパスができず、速い攻撃ができなかったように思うが
もちろん、できるに越したことはないんですが、サッカーの試合では片方が10の力を出したら、もう片方は8くらいの力しか出せないということがあります。どちらが先手を取るかによるんですけど。例えばオランダでも、われわれが速いプレスをかけたときに、それをかいくぐって速い攻撃ができたか。ほとんどできなかったと思います。まずは、われわれができたことを見ていくこと。足りないところを修正、修正というのは、決してチームを伸ばすことではないと思うので。もちろん、理想というものは追わなければならないとは思いますが、今できていること、それと今はできていないけれど、やろうとしてチャレンジしていること、そういったことを見ていきたいと思っています。ものすごいフルコートでプレスをかけられても「トントン」と行ければ理想ですけど、そこまでは今のところ要求していないというか、あまりそこは見ていないですね。
稲本に関して、彼は欧州組の1人だがなかなか出番がなかった。彼に何を期待しているか、そしてプレーにどんなことを求めているか
彼は本当にプロフェッショナルな選手という意味で、尊敬できる人間だと思っています。どういう状況であっても、自分がチームのためにやるべきことというものを考えて取り組んでくれている。ある意味、チームを作っていく上で非常に貴重な存在だと思っています。それとプレーの面でも、ある程度フィールドが空いてきたときに、彼の良さであるダイナミックな動きが生きてくる。ただ、クローズなときは今のところ、長谷部、遠藤がちょっと上かな、という判断はしています。ただ彼は、いろんな試合の流れの中で、押し込まれた試合、または(スペースが)空いてきた試合でユーティリティーで使える貴重な戦力だと思っています。彼はまた向上欲があるので、まだまだ伸びてきて、遠藤や長谷部のポジションを脅かす可能性は十分に持っていると思っています。
本田の動きについて
彼は、左だとどうしても視野が違うということで、今日は右サイドでチャレンジさせようとしました。やはり右の方が安定感もあるし、プレーとしては、僕は彼なりのプレーをしてくれたと。ただもっとできる選手だし、できなければ中村俊輔がけがをしたときに、誰が出るんだという問題も出てくるので、彼には今はあまり「満足している」という言葉はかけない方がいいのかなと。まだまだ、もっとできるはずだと思っています。
オランダ戦の前日に「釣れてもよし、釣れなくてもよし」という言葉もあったが、課題、やり残したこと、通用したところを具体的に教えてほしい
あまり詳しく言うと、わたしのノートを公開することになるんですけど。この前、言いましたように、攻撃においてわれわれがやろうとしているビルドアップは、そこそこプレッシャーをかけられてもできるという感触。ディフェンスにおいては、ある程度、前から行くと、今日もそうですけど、結構レベルの高いチームでも蹴るしかないものだなという感触。その中で、やはり課題として、守備に関しては最後のところ、1対1でのシュートのところを抑える、または1対1でダメなら2対1にするということ。プレッシングというのはあくまで手段なので、そうではなく点を取らせないという原点のところ。
攻撃に関しても、ビルドアップは通用したけれど、じゃあ点を取らないと意味がないと。今日は最後に取れましたけど、やっぱり前半の五分の戦いの中で点を取りたいというのは、本音の中ではあります。それ以外に、セットプレーでまだまだ、今日もPKで取られましたけど。ただ、まだまだこのチームは伸びていけるのだと思いますし、そのための時間もわれわれにはあるので、十分にW杯までに間に合うと信じています。