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香港戦後

10月8日

■ ただ勝つだけならあそこまで無理して攻めることはなかった

はじめに
今回のシリーズは、われわれがワールドカップ予選を勝ち抜き、そして欧州遠征をして今後の道筋、やらなければならないこと、本大会までに見えてきたステップアップのための新しいスタートという位置付けでやっていました。ゴールに向かっていく迫力を上げていかないといけないとか、前半に関しては選手たちにもものすごくそういう意識はあったんですが、少し攻め急ぐというか、ゴールに向かう意識は強いんですけど、ある程度押し上げてボールを回すとか、ちょっとバランスがずれていたかなと。
後半はそういう意識が出てきたんですけど、少しミスが出てきた。その中で、何回かいい形で崩して、実際に6点取ってくれた。欲を言えば、あと2、3回いい形でつないでサイドを破ってディフェンスラインの裏に流し込んで入りかけたかなと。できればそういうので1点か2点が入っていれば良かったですが。先日の会見でも言いましたが、今すぐいい結果を求めるのではなくて、この8カ月で結果を出してもらいたいと思っていますので、今日の試合に関しては選手たちが90分間戦ってくれたこと、そしてチームとして機能していたこと、それらについては満足しています。
6−0という大量得点の勝利だったが、選手が受ける心理的な影響をどう考えるか?
恐らく選手は6点ということを気にしていないと思います。彼らは目指すことをどれだけトライできるか。この試合は絶対に勝たなければいけない試合でしたが、ただ勝つだけならあそこまで無理して攻めることはなかった中で、彼らは自分たちでテーマを持って、それに取り組んでくれた。6−0で勝ったことに満足することもないだろうし、6点だったからものすごく勘違いしてしまうことも心配していません。
次のスコットランド戦については中1日ということで、こういう相手でも全く手を抜かずに、例えば裏に出たボールは全部点を取れと。闘莉王にしても、前だったら「まあ大丈夫だな」というポジショニングだったのが、全力で戻ってくれると。そういう意味で90分間全力でやった選手は、次はきついんじゃないかと思っています。やっぱり、今まで呼んでも欧州遠征で使えなかった、われわれにとって非常に重要な中堅どころの選手、それプラス新しい選手、この辺の選手たちを使っていきたい。彼らは今日の試合を見てイメージはできていると思うので、モチベーションは非常に高まっていくのではないか、というふうに思っています。
「攻め急ぎ」とか「バランスが崩れていた」ということだが、具体的には?
欧州遠征で、シンプルにサポートが入ってある程度ボールを動かしていけば、ビルドアップまではできると。ただ、そこからの突破に関して、しっかりしたディフェンスをされたときにちょっと物足りなさがありました。ガーナ戦ではある程度できたんですけど。そういうところと、今回いろんなデータを欧州遠征で取ったんですが、クロスの成功率がどうしても日本の場合低いと。これから強いチームと当たっていくときに、中央というのはなかなか難しくなる。サイドの裏からどうしてもクロスで合わせていかないといけない。クロスのキックの質も当然あるんですが、いいポジションを取っていても、入るタイミングがあります。今回、共通の意識を持とうということでトライしていたので、みんなそこを狙うという意識はあったんですが、その前に無理なときにはもっとボールを保持していく。そこのバランスが取れてくれば、という意味で言いました。
3ゴール決めた岡崎の評価について
岡崎は今回の練習でも安定してゴールに絡めるようになってきています。まだまだ雑なところもあるんですが、さっき言いました裏に出ていくとか、クロスに入っていくタイミングというのがゼロコンマ何秒感じるのが早いという、ストライカーとしてなくてはならないものを最近発揮しているのではないかと思っています。彼がその結果3点取ったというのは、われわれにとって非常に喜ばしいことだと思っています。
中村俊が後半は下がってさばく場面が多かったが、何か指示があったのか。それとも、コンディションの問題があったのか?
指示はしていないですし、コンディションも悪くないと思っています。後ろに人がいるのに彼が下がるのは問題ですが、その時は長谷部もヤットも前にいたので問題ないと思います。ちょっと狙う意識が強かったので――彼は決定的なパスを、今日も何本も通していたと思うんですけど――もうちょっと楽にプレーして良かったところもあったかもしれません。ミスがちょっと目立ったというところもあるんですけど、やはりゲームを決定付けるようなところを狙っているというのは、われわれにとって貴重な選手だと思っています。
後半に起用した徳永の出来については?
徳永に関しては、今日の30分だけで評価することは。僕は今日の30分は決して悪いと思っていないんですけど、かなり緊張していました、彼。ちょっと遠慮したようなプレーというか、練習ではもっともっと積極的なプレーをしていたんで、今日は30分だったので次もちょっとはできるのではないかということで、このシリーズでの評価をしていくべきだと。ただ、十分やっていける体の強さ、コーナーキックでのヘディングの高さを含めて、十分にやっていけるんじゃないかなと思っています。
森本、石川に関して、今日はベンチ外だったが、コンディションの問題なのか。それとも戦術的な問題だったのか?
先ほど言いましたが、集まって2日でまだ慣れていない面があって、こういうところでいきなり公式戦というのは、ちょっとかわいそうかなと。そういう意味で、みんなと慣れる期間と、今日この試合を見ることによって、彼らも練習でやっていることのイメージができる。これが大切じゃないかと思って今回は入れなかったわけで、コンディションは全然問題ないです。
6点の中で最も気に入っているのはどのゴールか。それから玉田のけがの状況は?
先に玉田についてはろっ骨を打撲していまして、病院に行きました。長くかかりそうですがどうしようもないので、まあ検査の結果を待ってからということになりますけど、長引かないでほしいとは思っています。
それから6点についてですが、僕は何でもいいです、ゴールが入れば(笑)。それ以上に一度、駒野がディフェンスラインの裏に鋭いクロスを入れたのを大久保が入れなかったのと、前半に右サイドから長谷部だったと思うんですけど、素晴しいクロスに3人、4人飛び込んでいったのに誰も触れなかった。それから、後半に左から俊輔がディフェンスラインの裏に素晴らしいクロスを入れたのに、やはりシュートミスだった。そういう方が印象に残っています。