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対談 EXILE HIRO

4月9日

■ 「W杯前に海外に行ったらコンディションを崩すかもしれない」なんて細かいこというなと

代表応援歌の話で会われて幅広い話をされたとか。
HIRO:ダンスや音楽の学校もやっていますけど、子どもたちの話だとか、僕らの将来の話とか、今すべきことだとか。先生のように話してもらいました。
岡田監督:人気があってお金が入って、それだけでいいのかという問いかけを自分たちでされている。人の幸福だったり、子供たちの目を輝かせることであったり、そういうことのためにやって、初めて本物じゃないかという話をした。この若さでそこまで考えられるのはすごい。
HIRO:多くの人に認められるほど、自分たちの存在意義を考えるようになりました。
学校を開いたのは。
HIRO:ダンサーで食えない時代はアルバイトで教えていたけど、ダンスへの恩返しみたいなことから始めました。ビジネスというより、僕らの信念や考えを伝えながら新しい才能を発掘する。社会に貢献できるようなシステムづくりの一環として取り組んでいる。自分たちにとっても大切な場所です。
岡田監督:子どもたちのダンスを見せてもらった時、目が輝いていた。便利、快適、安全になって満たされた日本では人間が家畜化してきて年間3万人が自殺している。でも飢えているアフリカで自殺する人はいない。子どもの目も輝いている。ただ、日本の環境にいるから日本の若者は目を輝かせなくても済んでしまう。生きる力は感動や、苦しさを乗り越えたときの達成感だけど、そういう場がない。EXILEがやろうとしていることは目標に向かってチャレンジする場を与えること。乗り越える山を自分で作らないといけない時代に、その山を感覚的に感じていると思った。
HIRO:いまボーカルのオーディションをやっていて全国を回っています。全国で2万5千人集まっていて、僕とATSUSHIで全員を見ています。
岡田監督:EXILEに入れるの?
HIRO:すぐには入れないですけど、その中から5年後、10年後に入る子が出てくるかもしれません。何かに挑戦したいとか、障害を持っている子とか、いろんな子が来る。20秒のアカペラなんですけど僕らの前で歌うことでものすごい勇気になるし、挑戦して次の仕事に生かすという人もいます。
今の若い人たちは捨てたものではない。
岡田監督:捨てたもんじゃない。ただ場がない。いい芽も育つための土がないと育ちようがないのに、土を作って用意しない。今の若い選手は戦わないというけど、そんなことない。彼らはすごいハートを持っている。でも人間は横着だから、出さなくても済んじゃうと出さない。
EXILEのメンバーはいかがですか。
HIRO:自分の置かれている状況がチームの中でどうなっているのかを客観的に見ながら自分をどうやって出し、EXILEの夢をかなえながら個人としての夢をどうかなえていくかということを考えています。スケジュールを2年先まで具体的に決めていて、3年先までイメージを決めている。そうすれば安心して人生設計もできる。今は波が来ているので2年間は突っ走っていこうという意識をみんなが持っていて、志が同じなのでまとまりやすいです。
岡田監督:停滞してふん詰まりになっている社会にあって、若者はエネルギーをどこに持っていっていいのかわからない。EXILEのメンバーはこのチャンスを絶対につかんでやるという泥臭いバイタリティー、エネルギーを待っている。明治維新の時にみんなが東京に出てなんとかしようというのと似た雰囲気。「まだまだ成り上がります」と言っている本田圭佑みたいなもの。それをエゴとかいうかもしれないけど、強いエネルギーを感じる。閉塞(へいそく)感が漂う今の時代に一番必要なのかもしれない。選手にもチャレンジしてほしい。「W杯前に海外に行ったらコンディションを崩すかもしれない」なんて細かいこというなと。W杯なんて終わったらすぐに忘れられる。人間の一生にとって、サッカー選手にとって、海外移籍はもっと大きなチャレンジじゃないかなと。
HIRO:僕らもエネルギーという言葉をよく使います。自分を奮い立たせる重要なもの。メンバー一人ひとりのエネルギーはすごく強いです。
そういう意味で音楽もスポーツもお金では買えない価値がある。
岡田監督:脚本家の倉本聰さんによく言われるけど、どれだけ素晴らしいシナリオやストーリーを書いて演じてもスポーツの感動にはかなわないと。やはり人を動かしてなんぼなんだ。でも、人を感動させようと思ってやったものは感動させられない気がしている。チームが勝つためにひたむきにベストを尽くそうとしている姿に感動するのであって、こびを売るようなことをスポーツはしてはいけないんじゃないか。それがスポーツが唯一できることなのかもしれない。
HIRO:僕らのライブなどでは、ファンの前なので彼らが喜ぶところを計算して表現するけど、最終的にはパフォーマンスをいかに全力でやるか。スポーツ選手を見ていると勉強になります。勝ち負けも大切だけど、そこに向かっていく勇気とか一生懸命さとかが感動の原点。ゴール決めたときに観客がガッツポーズしますよね。爆発力は僕らにとっても大きなテーマです。
岡田監督:あれはね、やはりためておかないといけない。いらいらさせておいて。
HIRO:いらいらはさせないけど、僕らもためなんです。思い切りためておいてサプライズとか、立体的に考えます。
岡田監督:試合は筋書きができない。書いてもなかなかその通りにいかない。
ライブも予定通りにいかないところがありますか。
HIRO:ライブもいろいろ変化させます。今はそこを得意にしていますが、僕らが思い描いているようにファンが喜んでびっくりしてくれるところが、僕らの仕事の楽しさでもあります。
岡田監督:その中でアドリブもあるの?
HIRO:たくさんあります。ソロダンスは全部アドリブ。歌もフェイクなどはアドリブもありますし。曲順からしてものすごく重要だし、オープニングはどこよりもこだわっています。ためにためて、いい意味で裏切りながら出ていくとか。どうしたら派手に伝わるかというテクニックを考えるのは好きです。
岡田監督:私は今が一番苦しい時。試合や合宿をやっているときは楽。カメルーン、オランダに勝つためのシミュレーションを、それこそシナリオをいろいろ考えている。過去のW杯の日本やアジアの映像を見て、どういうシナリオを考えて、どういう戦いをしないといけないのかを考えている。昨年、親善試合だけどオランダ、ガーナとできて見通しが立ったけど、そのあと強い相手とやっていないからシミュレーションするしかない。1日4試合ビデオを見て、ここでどういう戦いになるのか、ここでこいつ使ったらこうなるのかと、証明できないことを自分の中で考える。いろんなシナリオが考えられるけど、それこそどれがお客さんがぼーんと盛り上がるのか、苦しまない?
HIRO:僕らの場合はファンなので、岡田監督と比べものにならないぐらい考えやすいかもしれません。でも、いざライブやるときにほっとできるくらいまで集中して考える。絶対盛り上がるなんて確信はできません。
岡田監督:怖いよね。絶対勝てる方法があればいいんだけど。今は一日そういうこと考えているから、夜中に目が覚めてメモしたりする。体力的にも今が一番きつい。W杯早く始まらないかな。決心つくんだけど。
EXILEの将来像はどんな風に描かれていますか。
HIRO:大きなテーマは社会に貢献できて、影響力ある立場に居続けること。今の立場にずっといることができたら、未来にはすごいことができると思います。それがみんなの目標です。ただ、14人が永遠ということはありません。5年先をイメージした時には違う形になっているかもしれませんし、今からそれを準備していきたい。形はどう変わってもいい。去年、14人に増やして、オーディションもやりながら、学校をやって種をまいているところです。自分のパフォーマーとしての引き際もイメージしているし、それもエンターテインメントにしたいです。
岡田さんは3カ月後をどう考えていますか。
岡田監督:チームの仲間と一緒にベストを尽くすこと。目標はベスト4といってきたけど、ここまでチャレンジしなければいけないということを伝えるためで、これからは目の前の一試合一試合を勝つためにベストを尽くしていくだけ。並大抵な大会にならないと思うけど、やれると思っているし、半端な覚悟ではこの仕事を引き受けてはいないし、すべてをかけている。本番が始まってからは大したことはできない。5月の直前合宿の練習メニューまで頭には浮かんでいる。最高の準備をして初戦を迎えて、選手が緊張したり、びびったり、恐れたりすることなく、力を出させてやる。それだけを考えている。